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コラム

Automotive SPICE SYS(システムエンジニアリング)プロセス担当について

 


製品開発体制の中でSYSプロセス担当が不在になりがち

一般的な製品開発組織は下記の様な体制が多い様です。
しかし、このような開発体制の場合、システムエンジニアリング(SYSプロセス)はどこが担当するのが良いのでしょう?

・プロジェクト全体を纏める「製品開発取り纏め部門」は、SYSプロセスを担当できる技術的なスキルが足りない

・「制御/システム開発」は名前は近いが、役割は回路設計(E/E)や制御仕様が担当で、メカやソフトウェアも含めた製品全体の責任は取れない

・製品全体のシステム要件整理を纏める担当が明確ではない。しかし、各部門間でそれぞれ要件調整を実施し、その結果を各担当部分の要件としているため特に必要性を感じていない

上記のような理由から、SYSプロセスを担当する部門/開発チームが不在になっていないでしょうか。

 

 


SYSプロセス担当が不在なことによる弊害

・各部門間で調整した要件が、システム要件として纏まっていないため、部門間の議論で気が付かない不整合が開発後半で発生してしまう可能性がある

・システム全体の把握した設計ドキュメントが作られず、新規機能を検討する場合に、最適な機能分担がスムーズに行えない(行える人が不在)

・システム全体目線でのシステム要件分析やシステムアーキテクチャ検討結果が作成されない。そのため、システム全体検証の項目に抜け漏れが発生して、機能不良や不具合が流出してしまう可能性がある

 


仮想的なシステムチーム

SYSプロセスは製品品質を向上させるために重要な役割を持っています。組織体制上、どこかの部門・チームがシステム全体を見るSYSプロセス担当となるのは難しいかも知れません。その場合は、例えばこの図の様に、各部門からリソースを出し合い仮想的なシステムチームを構成し、役割と責任を与えて、システム全体を明確にするためのSYSプロセスを適用できるような体制と責任分担が重要となります。

仮想システムチーム体制案

 


さいごに

今回のコラムはいかがでしたでしょうか?思い当たることがありませんでしたか?
製品開発体制の中に、システム担当部署がいない場合の解決案をご説明しました。
仮想的なチーム運営は難しいかもしれませんが、参考にしていただけると幸いです。

 

鈴木功