プロジェクト管理トレーニングを「良かった」だけで終わらせない、3つの仕掛け
プロジェクト管理トレーニングやAutomotive SPICE教育を実施しても、現場の行動がなかなか変わらない。車載システム・ソフトウェアの開発現場では、こうした悩みを抱える管理者や改善推進メンバーの方も多いのではないでしょうか。せっかく時間とコストをかけて実施するトレーニングです。できることなら、知識の習得だけで終わらせず、現場での行動変容や成果創出につなげたいものです。
今回は、なぜトレーニング後に現場が変わらないのか、そして教育効果を現場へ定着させるために必要なことについてお伝えします。
◇「トレーニングは良かった。でも現場は変わらなかった。」
Automotive SPICEやプロジェクト管理のトレーニングを受講したエンジニアが職場へ戻ると、気づけば以前と同じ仕事の進め方に戻っている。そんな経験はありませんか。
トレーニング受講直後のアンケートでは、受講者から
・「内容が分かりやすかった」
・「新たな気づきがあった」
・「業務に役立つ知識を得られた」
といった前向きな評価が並びます。
しかし数か月後になると、現場では大きな変化が見られない。結果として、
・「トレーニングの効果が見えない」
・「教育投資が成果につながらない」
・「また単なるトレーニングイベントで終わってしまった」
という声が聞かれるようになります。
◇現場が変わらないのは、受講者の問題ではない
このような状況になると、
「学んだことを実践しなかったのではないか」
「受講者の意識が低かったのではないか」
という話になりがちです。しかし、多くの場合、受講者個人の問題ではありません。
トレーニングで学んだ内容を現場で試す機会がなく、周囲も同じ考え方や共通言語を持っていない環境では、行動を変えることは容易ではないからです。たとえば、プロジェクト管理トレーニングでリスク管理やスコープ管理の重要性を学んだとしても、実際のプロジェクトで活用するきっかけがなければ、その知識は定着しません。また、受講者が新しい考え方を持ち帰ったとしても、
・上司が同じ概念を理解していない
・チーム内で共通認識がない
・実践を振り返る場がない
という状況では、学びを継続的な行動へつなげることは難しくなります。
車載システムやソフトウェアを含む自動車開発の現場では、品質問題への対応や開発スケジュールの遵守が優先されます。そのため、新しい取り組みを試そうとしても、目の前の業務に追われて従来のやり方へ戻ってしまうケースは少なくありません。つまり、現場が変わらない原因を個人に求めるのではなく、学びを定着させる仕組みの有無に目を向けることが重要なのです。
◇トレーニング効果の定着に必要なのは「仕掛け」
プロジェクト管理トレーニングを実施しても現場が変わらない理由は、受講者の問題ではなく定着の仕組みにあります。Automotive SPICE教育にも通じる、現場で使える3つの仕掛けを解説します。
① トレーニング直後に小さく試せる実践の場をつくる
学んだ知識は、できるだけ早く現場で使うことが重要です。
例えば、
・WBSを見直す
・スコープを整理する
・リスク一覧を作成する
・ステークホルダーを洗い出す
といった小さな取り組みでも構いません。
知識を実際の業務へ適用することで、「知っている」が「使える」に変わります。
② 管理職も同じ共通言語を持つ
受講者だけが学んでも、現場での実践につながらないことがあります。
たとえば、受講者がスコープ管理やリスク管理の考え方を学んでも、上司やプロジェクトマネージャーがその考え方を理解していなければ、日常業務の中で活用する機会は限られてしまいます。
そのため、管理職向けにも同じ概念を理解する機会を設けることが重要です。必ずしも受講者と同じ内容をすべて受ける必要はありません。管理職向けの短時間セッションや事前説明会を通じて、現場で使う言葉をそろえるだけでも効果があります。
例えば、日常のレビューや進捗確認の場で、
・「スコープは明確になっているか」
・「リスクは可視化されているか」
・「この報告から何を判断するのか」
といった会話ができるようになると、トレーニングで学んだ内容が現場に定着しやすくなります。
③ 定期的な振り返りの場を設ける
人は学んだ内容を時間とともに忘れてしまいます。
そのため、「1か月後」、「3か月後」、「半年後」といったタイミングで実践状況を確認し、振り返る機会を設けることが重要です。
取り組みの成功事例や課題を共有することで、知識が経験となり、組織に定着していきます。
◇私たちが目指すのは「受講前後で成長を実感できるトレーニング」
先日、ある企業様向けにプロジェクト管理トレーニングを実施しました。
このトレーニングでは、プロジェクト管理に必要な6つの要素について講義を行うだけでなく、実際の業務を題材としたワークショップも実施しました。ワークショップでは、実際の開発プロジェクトを想定して、スコープの整理やリスクの洗い出し等をグループで検討し、受講者同士で議論をする場を設けました。各自が自身のプロジェクトに置き換えて考えることで、一方的に知識を受け取るのではなく、「自分ならどう活用するか」を深く考えていただくことができました。
受講者からは、
・「スコープ管理をする中で、やることとやらないことを明確にする重要性を学べた」
・「各種報告は義務ではなく、自身の判断精度を高めるためのものであることを理解できた」
といった声をいただいています。
私たちが大切にしているのは、講師から受講者への一方通行の座学ではありません。受講者の皆さまと一緒に考え、議論し、気づきを得ながら学ぶことです。そして、受講前と受講後で何が変わったのかを実感できるトレーニングを提供することです。
◇トレーニングを「イベント」で終わらせないために
教育の目的は、トレーニングを実施することではありません。現場の行動が変わり、プロジェクトの成果につながることです。
もし、
・「Automotive SPICE教育を実施しているが定着しない」
・「プロジェクト管理スキルを向上させたい」
・「トレーニング効果を現場改善につなげたい」
・「開発組織の共通言語を作りたい」
そんな場合は、まずはお気軽にご相談ください。
私たちはトレーニング単体ではなく、現場への定着までを含めて一体で設計します。「またトレーニングが無駄になった」と感じる前に、教育を成果へ変える仕組みづくりを一緒に考えてみませんか。
▼プライベートトレーニングラインナップはこちらから
→https://www.bgarage.co.jp/service/training/
▼ご相談・お問い合わせはこちらから
→https://www.bgarage.co.jp/contact/
(長澤 克仁)