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同じ失敗を繰り返さないプロジェクト管理 ─ 再発防止の実践ポイント

■なぜ、あの失敗は何度も起きるのか?開発プロジェクトの合間に、こんな会話を耳にすることがあります。「この前も同じような問題があったよね?」「気を付けていたつもりだったけれど…また再発してしまった」こうした状況は決して珍しくありません。多くの開発現場では、重大な問題が発生した際に「過去にも似た状況があった」と振り返るケースが少なくないと言われています。もちろん、プロジェクトで起きる問題の形や影響はさまざまで、個別の技術的課題や外的要因によるトラブルも存在します。それでもなお、現場を振り返ると、同じような状況や判断の迷いが重なった結果として問題が再発しているケースが見受けられます。では、なぜ似たような失敗は繰り返されてしまうのでしょうか。 ■同じ失敗が起きる主な要因とは?ある車載ECU開発プロジェクトでの出来事です。当初のプロジェクトの目的は「画面表示の起動時間を短縮する」ことでした。ところが開発途中で、「起動時にロゴアニメーションを入れたい」「警告メッセージの表示仕様も変更したい」「診断ログも取得できるようにしてほしい」といった要望が追加され、チームは「せっかくなら対応しよう」と順次取り込みました。しかし、誰も「起動時間短縮が最優先なのか、それとも新機能追加なのか」を明確に整理しないまま進めたため、「あるメンバーは表示品質を優先」「別のメンバーは起動速度を優先」「別の担当は診断要件の網羅性を重視」と、目指すゴールが少しずつズレた状態で開発が進んでしまいました。その結果、統合テストの段階で「起動時間が目標を満たさない」「ログ取得時に表示が遅延する」といった問題が同時に発覚し、大きな手戻りが発生しました。さらに、スケジュール遅延の兆候は早い段階で見えていたにもかかわらず、「どの時点で誰に相談するか」「何を優先的に削るか」が決まっていなかったため、対応は常に後手に回りました。このような問題は以前にも何回か起きていたようです。 同じ失敗が繰り返される背景には、・目的と優先順位が共有されていない・問題発生時の動き方が決まっていないといった構造的な要因が背景にあるケースは少なくありません。目的が揃わないまま進めると、メンバーごとに判断基準がばらつき、問題が起きても対応の優先度や対処方針が統一されません。さらに、初動対応やエスカレーションのルールが明確でない場合、対応は場当たり的となり、問題の影響が拡大しやすくなります。その結果、納期や目先の対応を優先した暫定対処で収束させてしまい、根本原因が解消されないまま次のプロジェクトへ持ち越されます。そして同様の条件が重なったとき、類似したトラブルが再び発生する可能性が高まります。 ■成功するプロジェクトが共通して実践している取り組み前述の例のように、失敗の原因は個人の注意不足だけでなく、目的の共有不足や優先順位の不明確さ、問題発生時の対応ルールの欠如といった“進め方の仕組み”に起因しています。では、同じ状況に直面しても手戻りを最小限に抑え、着実に成果を出し続けるチームは、どのような工夫をしているのでしょうか。私の経験を基に、実際に効果のあった取り組みの一例をご紹介します。 1. 要求分析と優先順位決定プロセスを機能させる要求が増え続けること自体は珍しいことではありません。問題は、優先順位を判断する基準や変更時の意思決定プロセスが明確でない場合、チーム内で判断軸がばらつくことです。成功している組織では、 最優先事項を判断する基準を定める 要求変更時に影響範囲(品質・性能・日程)を確認する 優先順位を見直す意思決定ルールを設けるといった仕組みによって、要求分析プロセスが機能する状態を維持しています。例えば、変更要求が出た際に「最優先目標に影響しないか」を確認するチェック項目を設けるだけでも、判断のばらつきを抑えることができます。 2. 問題の早期解決を支える支援・エスカレーションの仕組みプロジェクトは計画通りに進まない状況が発生することを前提に運営する必要があります。重要なのは、問題が顕在化した際に 誰が・どの段階で・どこへ相談するのか が明確になっていることです。とある組織では、進捗管理・課題管理・リスク管理といった基本的なプロジェクト管理プロセスは整備されています。そのうえで、現場だけでは判断が難しい状況に備え、経験豊富なPMや技術リーダーが横断的に支援する仕組みを設けています。現場ではこれを通称「駆け込み寺」と呼んでいます。この仕組みの目的は属人的な助言ではなく、 進捗遅延や品質リスクの早期検知 判断に迷う局面での意思決定支援 問題対応の優先順位整理 組織としての対応方針の統一といった、プロジェクト運営プロセスを補完・強化することにあります。このような支援体制は大掛かりな組織でなくても導入可能です。例えば、 PM経験者が週1回相談枠を設ける リスク顕在化時の相談ルートを明文化する 重要課題をレビューする横断ミーティングを設けるといった小さな仕組みから始めることもできます。 3. 振り返りを“教訓化”につなげる仕組み振り返りの重要性は多くの現場で理解されています。しかし実際には、「事実の整理で終わってしまう」「個人の反省に留まる」「次のプロジェクトに活かされない」といったケースが少なくありません。効果的な振り返りを行う組織では、 結果の整理 原因の特定 再発防止策の決定 次回の実行ルールへの反映をセットで行います。例えば、再発防止策をチェックリストや標準手順に反映し、次プロジェクト開始時に確認する仕組みを設けることで、経験を組織の資産として蓄積できます。 ■あなたのチームでは、同じ兆候が起きていませんか?失敗の再発は偶然ではなく、進め方の仕組みに起因することが少なくありません。そして、その仕組みを整えることで、同じ問題が繰り返される可能性は大きく減らすことができます。ここまでお読みいただき、「自分たちの現場にも当てはまる」と感じられた方も多いのではないでしょうか。例えば、次のような兆候は見られませんか?☑ チーム内の意思疎通に不安がある☑ 課題が何度も再発し、改善が定着しない☑ プロジェクト管理が“実態と合っていない”と感じる☑ 組織としてのプロセスを整えたいが、どこから手を付けるべきかわからないもし一つでも思い当たる点があれば、それは個人の努力ではなく、仕組みを整えることで改善できる余地があるというサインかもしれません。 「自社ならどこから手を付けるのが最短か」を整理したい場合は、1~2週間のクイック診断からご支援することも可能です。小さく始めて、現場に無理なく定着させる改善をご一緒に進めていきます。まずは、現状の困りごとや課題をお聞かせいただくだけでも構いません。 ご相談・お問い合わせはこちらから→https://www.bgarage.co.jp/contact/ (長澤克仁)

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構成管理の基本の「き」 ~当たり前なことが難しい~

はじめに システム開発/ソフトウェア開発の現場では、日々多くの変更が行われています。機能追加、バグ修正、設計変更。。。そのすべてがソースコードやドキュメントに影響を与えます。この変化の連続を“管理された状態”に保つための仕組みこそが 構成管理(CM) です。今回は、Automotive SPICEのプロセスの1つである、SUP.8:構成管理の基本について、IEEEなどの国際標準も交えて解説します。 なぜ構成管理が必要なのか 構成管理がうまく機能していない現場では、こんな光景がよく見られます。 “誰が”“いつ”“どこを”“なぜ”変更したのか追跡できない 昨日の動くバージョンに戻したいのに、戻せない ドキュメントと実物が噛み合わず、レビューで混乱 変更したつもりが、別の人の作業で上書きされていたこれらはすべて、生産性と品質を静かにむしばむ“構成管理不足”のサインです。構成管理の目的は一言でいえば、変更の見える化と安定した開発の継続です。 構成管理の主要な4つの活動 1.構成識別(Configuration Identification)まず管理対象となる作業成果物を明確にします。この管理対象を構成品目(Configuration Item:CI)と呼びます。ソースコードはもちろん、設計書、テスト仕様書、ビルド手順書など、作業成果物すべてが対象となり得ます。どこまでを管理するのか最初に決めておくことが、とても重要です。Automotive SPICE v4.0では以下のように解説しています。 構成品目とは、単一の実体として構成管理の対象となる作業成果物または作業成果物一式を指す。 構成品目は、システム、ハードウェア、およびソフトウェアのすべての文書を含むシステム全体から、単一のエレメントまたは文書に至るまで、複雑性、規模、および種類が異なる場合がある。  選定基準は、単一の作業成果物または作業成果物一式に適用してよい。また国際標準である、IEEE 828「IEEE Standard for Configuration Management in Systems and Software Engineering」では、以下のように定義しています。 構成管理のために指定され、構成管理プロセスにおいて単一のエンティティとして扱われる作業成果物の集合体。 構成品目は、その複雑さ、規模、種類が多岐にわたる場合があり、ハードウェア、ソフトウェア、ドキュメントをすべて含むシステム全体から、単一のモジュールやマイナーなハードウェアコンポーネントまで多岐にわたる。プロジェクトの範囲や、標準資産の再利用の考慮等によって、構成品目は様々ですが、必ずしも「1ファイル=1構成品目」である必要がないことは上記からも理解できると思います。「単一の実態として扱われる作業成果物の集合体」が構成品目となります。 2. 構成制御(Configuration Control)構成管理の根幹となる活動は、変更手続きを管理し、変更を追跡することで、製品の構成が常に正確に把握されるようにすることです。構成制御は、ベースラインを完全に識別し、そのベースラインに対して行われたすべての変更を追跡することによって実現されます。Automotive SPICEではベースラインを以下のように定義しています。 1つまたは一連の作業成果物および生成物の一貫性が保たれ、かつ完成した状態であることを識別している。 次のプロセス段階および/または納入のためのベース。 一意であり、変更されてはならない。少しわかりづらいので、再びIEEE 828を参照してみましょう。以下のように定義しています。 正式にレビューされ合意された仕様または製品であり、その後は以降の開発の基礎となり、正式な手順を通じてのみ変更可能である。  媒体を問わず、構成アイテムのライフサイクル中の特定の時点で正式に指定及び確定された、構成アイテムの正式に承認されたバージョンである。 ソフトウェアベースラインとは、ソフトウェアライフサイクル中の特定の時点で正式に指定され、確定されたソフトウェア構成アイテムの集合(1つまたは複数)である。開発ライフサイクルのある時点(たとえば、要件が確定した時点や統合テストを始める時点)で、正式の合意された製品目一式がベースラインであり、以降の開発工程や納入の基となるものです。好き勝手に変更していけないのがベースラインであり、適切にベースライン(構成品目の集合体)を作成&更新していくことが構成管理の根幹となります。この適切な作成&更新を行うためには、正式な変更手順だけではなく、構成品目を格納する「ライブラリ」も重要となります。皆さんの中には既に、作業成果物の格納場所として、Git や Subversion などのツールを利用している方もいると思いますが、国際標準であるIEEE 1042「IEEE Guide to Software Configuration Management」で述べているライブラリの概念が基本となっています。   ダイナミックライブラリ(プログラマーズライブラリとも呼ばれる): 新規作成または変更されたソフトウェアエンティティ(ユニット/モジュール、データファイル、および関連ドキュメント)を格納するために使用されるライブラリ。 これは、作業担当者がコード開発で使用するライブラリで、そのユニットを担当する作業者は、いつでも自由にアクセスできます。 これは作業者の作業スペースであり、作業者によって管理される。 管理ライブラリ(マスターライブラリと呼ばれる): 現在のベースラインを管理し、それらに加えられた変更を制御するために使用されるライブラリ。 これは、統合のために生成された構成品目のユニットとコンポーネントが保持されるライブラリ。 通常は検証後にエントリが認められる。 作業者やその他のユーザーが使用するために、コピーを作成できるが、このライブラリ内のユニットまたはコンポーネントへの変更は、責任部署(構成制御委員会または委任された権限を持つ機関)の承認が必要。 スタティックライブラリ(ソフトウェアリポジトリと呼ばれる): 一般利用のためにリリースされた様々なベースラインをアーカイブするために使用されるライブラリ。 これは、運用のためにリリースされた構成品目一式のマスターコピーが保管されるライブラリ。 これらのマスターのコピーは、要求する組織に提供される場合がある。 3. 構成ステータス記録(Status Accounting)構成管理下にある構成品目(作業成果物)に関する重要な情報を記録し、管理者と作業者に報告し、「構成品目が今現在どんな状態か」を共有することが、この活動の目的となります。IEEE 828では、構成品目のステータス情報は、以下のことに役立つと述べています。 ある期間における、プロジェクト作業の結果を把握し、とある時点での完了見込みを把握する。 例:要件の数と実装済みの数を比較することで、これまでの進捗状況を把握できる。  開発中の製品の安定性と機能の完成度に関する状態を把握する。 例:機能またはコンポーネントに対して、実装済みおよび保留中の変更の数は、安定性または変動性を示している。 構成品目の管理(構成管理活動自体)を検証する。 必要に応じて、外部コンプライアンス監査の要件(例:SOXなど)を満たす。「構成ステータス記録」は、構成管理活動自体を監視するプロジェクト管理機能でなく、あくまで構成品目(作業成果物)の状態を監視するものであることも理解しておく必要があります。 4. 構成監査(Configuration Audit)「管理されているはずの状態」が、本当に実態と一致しているかを確認する仕組みです。 ドキュメントの記載と成果物が一致しているか 承認フローが守られているか リリース物は正しい構成か監査は厳しいものではなく、「間違いが積み重なる前の安全装置」というイメージです。 構成管理はツールではなく「文化」Git や GitHub、Azure DevOps、Subversion などのツールは SCM を支える重要な存在ですが、ツールを導入しただけでは構成管理ができたとは言えません。大切なのは、そのツールを使って一貫したルールとプロセスを回し続ける文化があるかどうかです。例えば: ブランチ戦略をチームで統一する コードレビューをルール化する 変更理由を残す習慣をつける リリース手順を標準化するといった取り組みが、SCMの“文化”を育てます。 さいごに構成管理は、「開発を安定させるための基盤であり地盤」です。目立たない活動ですが、これがしっかりしているチームはトラブルに強く、改善サイクルも回しやすくなります。地盤が安定していれば、どんな大きな建物(=プロジェクト)でも安心して積み上げることができます。  内山哲三 

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【Webinar動画公開】第7回 Webinar なぜその要求は誤解されるのか? ~ EARSで考える要求定義 ~

先日開催した、「第7回 なぜその要求は誤解されるのか?~ EARSで考える要求定義 ~」の Webinar動画を、弊社公式 YouTube に公開しましたのでお知らせいたします。ぜひ、ご視聴ください。 ▼ご視聴はこちらから:https://youtu.be/TbEu9Jwk5Ww ▼タイムライン00:00 オープニング02:26 はじめに(なぜ要求は誤解されるのか)04:01 要求が誤解される典型パターン06:21 EARS記法とは何か(基本構造と考え方)33:59 誤解されやすい要求をEARSで書き直してみる49:21 EARSはどこまで使うべきか?(向き・不向き)50:58 要求定義改善への活かし方(現場適応のヒント)53:02 Q&A

B'zine

B'zine - 2026年1月号(Webinar開催~EARSで考える要求定義~など)を発行しました

B'zine 1月号を発行いたしました。動画版(約3分)も公開していますので、弊社公式YouTubeより是非ご視聴ください。https://youtu.be/oQXV0vb0hYU      B'zineは、1回/月のペースでの配信しています。ご興味のある方は、ここから登録をお願いいたします。   B'zineビジネスガレージ通信(2026年1月号) B'zine 1月号をお届けします。年が明けて一ヶ月弱経ちましたが、改めて新年明けましておめでとうございます。本年も引き続きB'zineご愛読の程、宜しくお願い致します。日本列島各地で大雪警報や寒波、乾燥による山火事を含む火災発生に加え、地震も頻発しています。皆様におかれましては災害、事故、健康には十分ご留意ください。 【今月のトピックス】 イベント:第7回 ビジネスガレージオープンWebinar開催(2026/1/27) イベント:2026年3月 Webinar(予定):AIを活用した次世代要件分析プロセスの考察 資料公開:TestSPICE 概説資料を公開しました コラム:なぜ品質要件の問題はテスト段階で表面化するのか― 品質要件(非機能要件)の考え方と定義方法 ― コラム:プロセス改善コンサルティング、成功と失敗の分かれ道 【イベント】 2026年1月27日 Webinarなぜその要求は誤解されるのか?~ EARSで考える要求定義 ~ のご案内要求定義において「ちゃんと書いたはずなのに伝わらない」「レビューで解釈が割れる」といった課題に対し、要求が誤解される構造と、その解消手段としての EARS記法 を、事例を交えて解説します。日時:2026/1/27(火)16:00 – 17:00お申込みはこちらから→ https://www.bgarage.co.jp/news/1607/ 2026年3月 Webinar(予定):AIを活用した次世代要件分析プロセスの考察生成AIを活用したEARS形式の要求仕様作成手法を考察します。またAIを活用することで、従来手作業で実施していた要件分析プロセスが、どのように変更されるかを考えます。詳細は、B’zineビジネスガレージ通信(2026年2月号)でお知らせします。 【資料公開】 TestSPICE概説資料を公開しましたIntacs から公開されている TestSPICE の概説書(テストに関わる人のための TestSPICE 概要)を作成いたしましたので公開いたします。ご興味のあるかたは、是非ダウンロードして活用してください。~「プロセス」から読み解くテストの極意~ はじめに TestSPICEの構成 プロセスアセスメント プロセス事例紹介4.1 テスト実行プロセス(TST)4.2 テスト自動化プロセス(TAU) おわりにダウンロードはこちらから→https://www.bgarage.co.jp/news/1651/ 【コラム】 なぜ品質要件の問題はテスト段階で表面化するのか  ─ 品質要件(非機能要件)の考え方と定義方法品質要件の問題は、なぜ見過ごされたまま進むのか組込み・車載ソフトウェア開発では、設計やテストの終盤になってから、・応答時間が間に合わない・負荷が高すぎて処理が破綻する・安全・セキュリティ要求が弱い・必要なログがなく原因が追えないといった問題が表面化することが少なくありません。実務を見ていると、その背景には大きく 2つのパターンがあります。パターンA:そもそも「ここで品質要件が必要だ」と気づけていないパターンB:品質要件は「あるが、疑われていない」品質要件の問題は、このように「書かなかった」からではなく、「気づけなかった/疑われなかった」ことによって起きているケースが多いと考えます。詳細はこちら→https://www.bgarage.co.jp/news/1643/ プロセス改善コンサルティング、成功と失敗の分かれ道Automotive SPICEやCMMIに準拠したプロセス改善を積極的に取り組む設計現場が広がってきている反面、改善の必要性を感じながらも、「本当にコンサルを入れるべきなのか」「また期待外れに終わってしまうのではないか」そんな迷いを抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。実際、私たちがこれまでご相談を受けてきた中でも、次のようなお声を耳にしてきました。「過去にコンサルを入れたが、やることだけが増えて楽にならなかった…」「立派な資料は残ったが、現場のやり方は結局変わらなかった…」「コンサルに頼ると、自分たちの力が育たない気がする…」これらは、決して珍しい意見ではありません。そして同時に、「コンサルティングサービスがうまく機能しなかった典型例」でもあります。詳細はこちら→https://www.bgarage.co.jp/news/1656/ 

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プロセス改善コンサルティング、成功と失敗の分かれ道

Automotive SPICEやCMMIに準拠したプロセス改善を積極的に取り組む設計現場が広がってきている反面、改善の必要性を感じながらも、「本当にコンサルを入れるべきなのか」「また期待外れに終わってしまうのではないか」そんな迷いを抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。実際、私たちがこれまでご相談を受けてきた中でも、次のようなお声を耳にしてきました。「過去にコンサルを入れたが、やることだけが増えて楽にならなかった…」「立派な資料は残ったが、現場のやり方は結局変わらなかった…」「コンサルに頼ると、自分たちの力が育たない気がする…」これらは、決して珍しい意見ではありません。そして同時に、「コンサルティングサービスがうまく機能しなかった典型例」でもあります。■見過ごされている2つの「ズレ」プロセス改善コンサルティングが失敗する背景には、主に以下のようなズレが潜んでいます。 ズレその1:目的の不一致「レベル認証を取れればいい」のか、「自律的な改善ができる組織にしたい」のか——この目的が、依頼部門と開発現場で共有されていないケースが非常に多いのです。依頼部門:「認証取得をきっかけに、組織を変えていきたい」開発現場:「とにかく早く認証を取って、元の業務に戻りたい」こうした認識のズレがあると、現場の協力が得られず、形だけのプロセスで終わってしまいます。 ズレその2:アプローチの不一致コンサルティングには、大きく分けて2つのアプローチがあります。【代行型】改善作業を代行し、短期間で認証取得を目指す【伴走型】課題や施策を現場と一緒に整理しながら進め、組織にノウハウを残すどちらが優れているということはありません。問題は、目的に合わないアプローチを選んでしまうこと、そしてこの選択を曖昧にしたままプロジェクトを始めてしまうことです。 失敗の本質は、「誰が悪い」という話ではありません。目的や期待を関係者間ですり合わせる——このステップが抜け落ちたままプロジェクトが始まってしまうことにあるのです。 ■「ズレ」を解消したことで現場が変わった事例では、これらのズレを解消すると、現場はどう変わるのでしょうか。実際の事例をご紹介します。 【依頼時の状況】ある設計現場からご相談をいただいた際、次のような課題を抱えていらっしゃいました。・問題は発生してから初めて共有される・進捗会議では「今どうなっているか」の報告に終始する・遅延や手戻りの原因が、毎回「想定外」「人手不足」で片付けられる・設計者からは「レビュー準備だけで工数を取られる」「成果物のトレーサビリティ維持が負担」という声が出ていた過去にもコンサルを入れたことがあったそうですが、「立派な資料は残ったが、現場のやり方は結局変わらなかった」とのことでした。 【目的の共有】まず私たちが行ったのは、依頼部門と開発現場の責任者の方々と、次の点を時間をかけて対話することでした。「今回の目的は、認証取得だけですか? それとも組織を変えることですか?」結果、「認証取得はあくまで通過点で、現場が自律的に改善を続けられる力をつけたい」という明確な目的を、全員で共有できました。加えて、今回のコンサルの期待として、「なぜこのプロセスが必要なのかという考え方を現場に残してほしい」、「プロジェクトが終わった後も、自分たちで改善を続けられるようにしたい」という期待があることも共有することができました。 【アプローチの選択】目的と期待が明確になったことで、私たちは伴走型コンサルティングを提案し、具体的な進め方について合意しました。・プロセス文書は一緒に作る(現場の実態を反映させる)・「やらされ感」ではなく、「なぜ必要か」を理解しながら進める・ノウハウを組織に残すことを最優先する 【結果】プロジェクトでは、解決策の提示だけでなく、「どのタイミングで、どんな兆候が出ていたのか」「本来、どこで意思決定すべきだったのか」などを、現場の方と一緒に整理しました。その上で、・進捗とリスクを一目で把握できる形に整理し・「問題が起きてから」ではなく「起きる前に気づく」視点を共有し・これまで個人の経験に頼っていた判断を、プロセスとして定義していきました。すると、同じメンバー・同じ工数でも、現場からは「次に何を確認すべきかが分かるようになった」、「認証取得後も、このやり方を続けていけそうだ」といった声が出るようになりました。その結果、手戻りによる追加工数が約3割削減され、プロジェクトの予測精度も向上しました。このような伴走型の支援にご興味がある方、または「自社の状況ではどのアプローチが適しているか知りたい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。 ■まずは2つの問いから始めてみましょうコンサルを活用することは、決して自分たちの力を否定することではありません。重要なのは、「何のために」「何を期待して」コンサルを入れるのかを明確にすることです。まず、この2つの問いについて考えてみてください。 問1:皆様の目的は何ですか?まずは認証を取得することが最優先ですか?それとも認証取得をきっかけに、組織を変えていきたいと考えていますか? 問2:コンサル後の姿をイメージできていますか?認証が取れたら終わりですか?その後も自分たちで改善を続けたいですか? もし1つでも不明確な答えがあれば、まずはその整理からご一緒させてください。私たちは、いきなり解決策を押し付けることはいたしません。認証取得の目的は何か、社内の関係者間でその目的は共有されているか、どのようなアプローチ(代行型/伴走型)が適しているか——これらを一緒に考えるところから始めます。目的が明確になれば、コンサルティングサービスは確実に組織の未来を変える力になります。 ▼プロセス改善コンサルティングに関するお問い合わせはこちら(ご相談ベースでも構いません)https://www.bgarage.co.jp/contact/ (長澤克仁)

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なぜ品質要件の問題はテスト段階で表面化するのか ― 品質要件(非機能要件)の考え方と定義方法 ―

1.品質要件の問題は、なぜ見過ごされたまま進むのか組込み・車載ソフトウェア開発では、設計やテストの終盤になってから、 応答時間が間に合わない 負荷が高すぎて処理が破綻する 安全・セキュリティ要求が弱い 必要なログがなく原因が追えないといった問題が表面化することが少なくありません。実務を見ていると、その背景には大きく 2つのパターンがあります。パターンA:そもそも「ここで品質要件が必要だ」と気づけていない機能要求や仕様は要求仕様書に書かれている一方で、 応答時間は? 負荷条件は? 異常時の振る舞いは? ログや診断は?といった品質の話題がほとんど議論されないまま進んでしまうケースです。これは品質要件を後回しにしたのではなく、「ここで考える必要があることに気づけなかった」状態です。パターンB:品質要件は「あるが、疑われていない」過去プロジェクトの品質要求流用や顧客提示の品質要求が、妥当性確認なしにそのまま使われているケースです。その結果、 今回の製品構成でも成り立つのか 対象機能や性能レベルに合っているのか 環境・負荷条件は変わっていないかといった確認がされないまま進み、やはりテスト段階で破綻します。品質要件の問題は、このように「書かなかった」からではなく、「気づけなかった/疑われなかった」ことによって起きているケースが多いと考えます。2.品質要件とは何か?定義の基本的な考え方品質要件(非機能要件)とは、製品・システムがどのレベルで振る舞うべきかを定める要求です。機能要件が「何をするか」を定めるのに対し、品質要件は、 どの性能で どの信頼性で どの安全性で どの容易さで動作すべきかを規定します。問題は、「重要だと分かっていても、どこまで決めれば十分か」が曖昧なまま進んでしまう点にあります。3.品質要件を具体化するための最小チェック(4点)実務で効果が高いのが、次の 4点チェックです。 品質特性を選ぶ性能/信頼性/安全性/保守性/セキュリティ など 観点に分解する例:性能 ⇒ 応答時間、CPU負荷、メモリ 数値化する(測定可能にする)例:応答時間 50ms以内 条件を明記する例:モード、温度範囲、車速、通信負荷などの前提条件この4点を通すだけで、曖昧さ由来の手戻りは大幅に減らせます。4.それでも問題が残る理由―「4点チェック」だけでは足りない4点チェックは、「何を書くか」を整える道具です。しかし実務では、それだけでは防げない問題があります。理由は明確で、「それを書くべきか」「それで妥当か」を問えていないからです。そこで重要になるのが、次の問いです。「この品質要件は、今回の製品・機能・構成でも成り立つか?」 そもそも、ここで品質要件を考える必要はないか 既存の品質要件は、今回も意味を持つか 顧客要求は、システム特性や環境に合っているかこの問いを4点チェックの前に挟むだけで、 気づけなかった品質要件 疑われなかった品質要件の多くが表に出てきます。5.まとめ:品質要件定義を要件分析プロセスにどう組み込むか品質要件の問題は、後工程で突然起きるわけではありません。 必要な場面に気づけなかった 既存の要求を疑わなかったその結果として、テスト段階で表面化します。実務で意識したいのは、次の3点です。 ここで品質要件が必要か?と立ち止まる その品質要件は今回も成り立つか?と疑う 定義するときは、4点チェックで具体化するこれだけで、品質要件の問題はテスト段階で初めて表面化するものではなく、上流での「問いの立て方」によって防げる問題になります。要件分析プロセスでどこに組み込むかここまで述べてきた問いとチェックは、特別な工程を追加するものではありません。実務では、要件分析プロセスの中で次のように位置付けることで、無理なく組み込むことができます。要件抽出・整理の段階「ここで品質要件が必要か?」と立ち止まる要求仕様の具体化段階既存の品質要件や流用要求に対して、「今回の製品・構成でも成り立つか?」を確認する要求記述・レビュー段階妥当と判断した品質要件を、4点チェックで具体化・数値化する この流れを要件分析プロセスの中に組み込むことで、品質要件の問題をテスト段階で初めて発見する、という状況を減らすことができます。品質要件を含めた要求文書の整理や書き方に関するお悩みがあれば、実務に直結する形でのご支援も可能です。お気軽にご相談ください。(安部宏典)

WhitePaper

TestSPICE 概説資料を公開しました

Intacs から公開されている TestSPICE の概説書(テストに関わる人のための TestSPICE 概要)を作成いたしましたので公開いたします。ご興味のあるかたは、是非ダウンロードして活用してください。 コンテンツに含まれるもの:~「プロセス」から読み解くテストの極意~ はじめに  TestSPICEの構成 プロセスアセスメント プロセス事例紹介 テスト実行プロセス(TST) TST.1:必要なテスト入力の提供 TST.2:テストの分析と設計 TST.3:テストの実現と実行 TST.4:テスト結果の分析と報告 テスト自動化プロセス(TAU) TAU.1:テスト自動化のニーズと要件の抽出 TAU.2:テスト自動化の設計 TAU.3:テスト自動化の実装 TAU.4:テストケースの実装 TAU.5:テスト自動化の実施 おわりに 

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B'zine - 2025年12月号(Webinar開催~EARSで考える要求定義~など)を発行しました

B'zineは、1回/月のペースでの配信しています。ご興味のある方は、ここから登録をお願いいたします。   B'zineビジネスガレージ通信(2025年12月号) B'zine 12月号をお届けします。今年4月に配信を開始しましたB'zineのご愛読ありがとうございます。今年もあと数日で終わりとなりますが、熊が冬眠し始めたためか、出没情報が減少傾向かと思ったら、北海道・東北、能登で地震頻発、山林火災を含む大規模火災の頻発、インフルエンザ流行等、連日のように災害のニュースが出ています。皆様におかれましては、健康、災害、事故には十分ご留意され、穏やかな年末年始休暇をお迎えください。 【今月のトピックス】 イベント:第7回 ビジネスガレージオープンWebinar開催(2026/1/27) お知らせ:年末年始休業のお知らせ お知らせ:Automotive SPICE Handbook(v4.0+CS v2.0)を発行しました コラム:設計意図が伝わる仕様書へ ─ 自動車開発に必須の“文書品質”改善術 コラム:日本と欧米におけるソフトウェア開発アプローチの違い コラム:DX時代にPMOはどう進化するべきか? 【イベント】 2026年1月27日 Webinarなぜその要求は誤解されるのか?~ EARSで考える要求定義 ~ のご案内要求定義において「ちゃんと書いたはずなのに伝わらない」「レビューで解釈が割れる」といった課題に対し、要求が誤解される構造と、その解消手段としての EARS記法 を、事例を交えて解説します。日時:2026/1/27(火)16:00 – 17:00お申込みはこちらから→ https://www.bgarage.co.jp/news/1607/ 2026年3月 Webinar(予定):AIを活用した次世代要件分析プロセスの考察生成AIを活用したEARS形式の要求仕様作成手法を考察します。またAIを活用することで、従来手作業で実施していた要件分析プロセスが、どのように変更されるかを考えます。詳細は、B’zineビジネスガレージ通信(2026年2月号)でお知らせします。 【お知らせ】 年末年始休業のお知らせ誠に勝手ながら、下記の期間を年末年始の休業とさせていただきます。お客様につきましてはご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。年末年始休業期間:2025年12月27日(土)から2026年1月5日(月)まで来年も弊社をご愛顧いただきますようお願いたします。 Automotive SPICE Handbook(v4.0+CS v2.0)を発行しました2025年7月に Automotive SPICE v4.0に対応した「Automotive SPICE サイバーセキュリティ v2.0 日本語版」が公開されました。皆様にご好評を頂いております Automotive SPICE Handbook(v4.0+CS v1.0)を Automotive SPICE サイバーセキュリティ v2.0 に対応版として、Automotive SPICE Handbook(v4.0+CS v2.0)を発行しました。興味のある方は、弊社までお問合せください。詳細はこちらから→https://www.bgarage.co.jp/news/1571/ 【コラム】 設計意図が伝わる仕様書へ ─ 自動車開発に必須の“文書品質”改善術自然言語による“解釈違い”がもたらすリスク製品開発における技術文書──要求仕様書、アーキテクチャ設計書、分析報告書、議事録。これらは最新の設計技法(Simulink、SysMLなど)を併用しても、最終的には自然言語による定義が必要です。なぜなら、仕様の目的、設計判断の背景、制約や前提、意図や理由といった情報はモデル図だけでは表現しきれないためです。しかしその自然言語は、“曖昧さ”という最大の弱点を持っています。その”曖昧さ”により、たった一つの文章を読み手が誤解釈しただけで、重大な不具合の発生や作業の手戻りなどが発生し、プロジェクトに多大な影響をもたらします。詳細はこちら→https://www.bgarage.co.jp/news/1555/ 日本と欧米におけるソフトウェア開発アプローチの違い日本のOEM(自動車メーカー)は、ソフトウェア開発においてサプライヤーにアーキテクチャ設計を明確に要求しない傾向があります。OEMが、「機能単位で仕様から設計、検証までを一貫して確認する」ことを重視するため、サプライヤーの開発プロセスも世界標準とは異なる建て付けになっていることが多いようです。これは、従来の製品開発における「現場で調整しながら完成度を高める」すり合わせの文化であり、全体構造を俯瞰する仕組みが不足しがちです。一方、欧米では工学論を前提とした開発文化が強く、システム全体のアーキテクチャを明確に定義することが基本となっています。アーキテクチャは、機能の分割や責務の明確化、再利用性の確保、将来的な拡張性を担保するための基盤となります。この違いは、開発の透明性、効率性、そしてグローバルな分散開発への適応力に大きな影響を与えています。詳細はこちら→https://www.bgarage.co.jp/news/1569/ DX時代にPMOはどう進化するべきか?DX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なるITシステムの導入や業務効率化にとどまらず、企業のビジネスモデルや業務プロセスを抜本的に変革し、競争力を高める取り組みです。こうした変革を推進するDXプロジェクトは、これまでのプロジェクトの管理とは異なる性質を持っています。では、組織横断でプロジェクトを支援するPMO(Project Management Office)は、どのように対応すべきでしょうか?詳細はこちら→https://www.bgarage.co.jp/news/1599/