技術コンサルティング

生成AIを活用した設計ドキュメント作成プロセス効率化支援

企業タイプ：大手自動車部品サプライヤ
企業規模：80,000人

自動車部品メーカーの開発部門では、安全性・信頼性確保のための工程としてFMEA（故障モード影響解析）作成に膨大な労力を費やしています。
当社は生成AI（ChatGPT）を活用することでFMEA作成期間とリソースを劇的に削減できるかを検証することを目的とし、短期間でその効果を確認しました。

この事例を通じて担当者が感じたことをコラムにまとめました。こちらもお目通しいただければ幸いです。
“やりすぎFMEA”に終止符を　─ 生成AIを使ってもっと「創造」しよう ─

ご相談内容

『過剰に工数がかかり過ぎないFMEA作成手順を検討したい』とご相談をいただきました。

実際の現場では、以下のような課題を抱えています。

属人性の高い分析
FMEAには高度な専門知識が必要であり、成果物の質が担当者のスキルや経験に左右されやすく、再利用性やナレッジ共有が難しくなる傾向がある。
工数過多
故障モードや影響、対策を網羅的に記述しようとすると、高機能なシステムほど膨大なセル数のFMEA表を作成する必要があり、作成工程に数週間を要する。
レビューが非効率
FMEAの信頼性を担保するためには有識者によるレビューが必要であり、調整と討議に相当の時間がかかる。

ご支援内容

故障モード影響解析に必要な入力データを生成AI（ChatGPT）に与えて、FMEAのたたき台を生成しました。

お客様の開発対象に近いシステム構成と機能を公開特許から選出し、その技術情報を入力データとしてFMEAの完成度を評価しました。

入力情報のプロンプト設計
「システム構成ブロック図」「各ブロックの機能概要」「入力信号のリスト」のデータ入力プロンプトとFMEA作成プロンプトの策定
自動生成されたFMEAの完成度
すでに学習されたFMEAの基本構造・設計パターン・よくある失敗事例から生成AIが一定品質のFMEAたたき台を自動作成
FMEAたたき台には現実ではそのままでは使えない対策が含まれていた
また検討すべきリスクや対策例などFMEAの副次的な情報を生成AIにより示唆された

実施内容/成果

以下の図表は、従来のFMEAプロセスと生成AI導入後のプロセス比較と効果です。

これからの開発プロセスとして、「まずAIにたたき台を書かせる→人がレビューして精緻化する」という流れが、従来の作業スタイルを大きく変える可能性を持っています。

効果・提供価値

生成AIの活用により、FMEA作成を効率化し、開発現場がより創造的な活動に時間を割けるようになりました。

結果として、「FMEAとしてそのままでは使えない部分がある」という課題は残るものの、AIによるたたき台生成の有効性と工数削減効果は明らかであり、「生成AIは必ず使える、確信を持てた」という非常に前向きな評価をいただきました。
今回の取り組みによりFMEAに限らず、他の設計ドキュメント作成でも同様に大幅な効率改善ができると強く感じました。