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プロセス改善コンサルティング、成功と失敗の分かれ道

Automotive SPICEやCMMIに準拠したプロセス改善を積極的に取り組む設計現場が広がってきている反面、改善の必要性を感じながらも、
「本当にコンサルを入れるべきなのか」
「また期待外れに終わってしまうのではないか」
そんな迷いを抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
実際、私たちがこれまでご相談を受けてきた中でも、次のようなお声を耳にしてきました。
「過去にコンサルを入れたが、やることだけが増えて楽にならなかった…」
「立派な資料は残ったが、現場のやり方は結局変わらなかった…」
「コンサルに頼ると、自分たちの力が育たない気がする…」
これらは、決して珍しい意見ではありません。そして同時に、「コンサルティングサービスがうまく機能しなかった典型例」でもあります。

■見過ごされている2つの「ズレ」

プロセス改善コンサルティングが失敗する背景には、主に以下のようなズレが潜んでいます。

 

ズレその1:目的の不一致
「レベル認証を取れればいい」のか、「自律的な改善ができる組織にしたい」のか——この目的が、依頼部門と開発現場で共有されていないケースが非常に多いのです。
依頼部門:「認証取得をきっかけに、組織を変えていきたい」
開発現場:「とにかく早く認証を取って、元の業務に戻りたい」
こうした認識のズレがあると、現場の協力が得られず、形だけのプロセスで終わってしまいます。

 

ズレその2:アプローチの不一致
コンサルティングには、大きく分けて2つのアプローチがあります。
【代行型】 改善作業を代行し、短期間で認証取得を目指す
【伴走型】 課題や施策を現場と一緒に整理しながら進め、組織にノウハウを残す
どちらが優れているということはありません。問題は、目的に合わないアプローチを選んでしまうこと、そしてこの選択を曖昧にしたままプロジェクトを始めてしまうことです。

 

失敗の本質は、「誰が悪い」という話ではありません。目的や期待を関係者間ですり合わせる——このステップが抜け落ちたままプロジェクトが始まってしまうことにあるのです。

 

■「ズレ」を解消したことで現場が変わった事例

では、これらのズレを解消すると、現場はどう変わるのでしょうか。実際の事例をご紹介します。

 

【依頼時の状況】
ある設計現場からご相談をいただいた際、次のような課題を抱えていらっしゃいました。
・問題は発生してから初めて共有される
・進捗会議では「今どうなっているか」の報告に終始する
・遅延や手戻りの原因が、毎回「想定外」「人手不足」で片付けられる
・設計者からは「レビュー準備だけで工数を取られる」「成果物のトレーサビリティ維持が負担」という声が出ていた
過去にもコンサルを入れたことがあったそうですが、「立派な資料は残ったが、現場のやり方は結局変わらなかった」とのことでした。

 

【目的の共有】
まず私たちが行ったのは、依頼部門と開発現場の責任者の方々と、次の点を時間をかけて対話することでした。
「今回の目的は、認証取得だけですか? それとも組織を変えることですか?」
結果、「認証取得はあくまで通過点で、現場が自律的に改善を続けられる力をつけたい」という明確な目的を、全員で共有できました。加えて、今回のコンサルの期待として、「なぜこのプロセスが必要なのかという考え方を現場に残してほしい」、「プロジェクトが終わった後も、自分たちで改善を続けられるようにしたい」という期待があることも共有することができました。

 

【アプローチの選択】
目的と期待が明確になったことで、私たちは伴走型コンサルティングを提案し、具体的な進め方について合意しました。
・プロセス文書は一緒に作る(現場の実態を反映させる)
・「やらされ感」ではなく、「なぜ必要か」を理解しながら進める
・ノウハウを組織に残すことを最優先する

 

【結果】
プロジェクトでは、解決策の提示だけでなく、「どのタイミングで、どんな兆候が出ていたのか」「本来、どこで意思決定すべきだったのか」などを、現場の方と一緒に整理しました。
その上で、
・進捗とリスクを一目で把握できる形に整理し
・「問題が起きてから」ではなく「起きる前に気づく」視点を共有し
・これまで個人の経験に頼っていた判断を、プロセスとして定義
していきました。
すると、同じメンバー・同じ工数でも、現場からは「次に何を確認すべきかが分かるようになった」、「認証取得後も、このやり方を続けていけそうだ」といった声が出るようになりました。その結果、手戻りによる追加工数が約3割削減され、プロジェクトの予測精度も向上しました。このような伴走型の支援にご興味がある方、または「自社の状況ではどのアプローチが適しているか知りたい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

■まずは2つの問いから始めてみましょう

コンサルを活用することは、決して自分たちの力を否定することではありません。重要なのは、「何のために」「何を期待して」コンサルを入れるのかを明確にすることです。まず、この2つの問いについて考えてみてください。

 

問1:皆様の目的は何ですか?
まずは認証を取得することが最優先ですか?それとも認証取得をきっかけに、組織を変えていきたいと考えていますか?

 

問2:コンサル後の姿をイメージできていますか?
認証が取れたら終わりですか?その後も自分たちで改善を続けたいですか?

 

もし1つでも不明確な答えがあれば、まずはその整理からご一緒させてください。
私たちは、いきなり解決策を押し付けることはいたしません。認証取得の目的は何か、社内の関係者間でその目的は共有されているか、どのようなアプローチ(代行型/伴走型)が適しているか——これらを一緒に考えるところから始めます。
目的が明確になれば、コンサルティングサービスは確実に組織の未来を変える力になります。

 

▼プロセス改善コンサルティングに関するお問い合わせはこちら(ご相談ベースでも構いません)
https://www.bgarage.co.jp/contact/

 

(長澤 克仁)